3.5 電子メール
電子メールとは、コンピュータネットワークを通じて文字メッセージを交換するシステム。現実世界の郵便に似たシステムであることからこの名前がついた。文字メッセージ以外にも、画像データやプログラムなどを送受信できるものもある。パソコン通信や企業内ネットワークなどで提供されていたサービスだが、近年ではインターネットの普及に伴い、インターネット上のメールシステムと互換性のあるものに統一されつつある。インターネットメールのことを特に「e-mail」と呼ぶ場合がある。
電子メールはメッセージ交換の手段としてだけでなく、さまざまな情報を集めるためにも活用できる。情報収集といえばまずWWWが頭に浮かぶが、ホームページを定期的にチェックして更新内容を確認するのは、なかなか面倒なものだ。その点、電子メールは自分のメールボックスまで届けてもらえるので、簡単かつ確実である。さらに、メールなら集めた情報が時系列に保存されていく。黙って待っているだけで情報が蓄積される電子メールは、情報収集の手段として最も効率のよい部類に入るだろう。
情報源になる電子メールの代表的なものとしては、メールマガジンとメーリングリストがある。メールマガジンは、名前のとおり電子メールによって届けられる雑誌のようなものだ。「まぐまぐ」などの無料メールマガジン発行システムの登場によって、情報発信者が爆発的に増加し、いま最もホットなメディアのひとつになった。マスコミによるニュース速報から個人がつくるマニアックなミニコミまで、その種類は数万にも及び、しかも大半が無料で提供されている。企業や業界専門誌の発行するメールマガジンも多いから、仕事の基本情報をチェックする手段としても役立つだろう。一方のメーリングリストは、電子メールを使ったテーマ別の掲示板のようなものだ。リスト用に設定された代表アドレスにメールを送ると、参加者全員にそのメールが配信される。メールマガジンが基本的に情報を受け取るだけのものであるのに対し、メーリングリストでは参加者が情報を発信することで話題が展開していく。活発なメーリングリストでは示唆に富んだ議論が交され、教えられることも多い。新しい規格の正式公開前に意見交換の場として開設されることもあるので、単なる情報収集以上の収穫が期待できる点も魅力だ。
電子メールは文字だけでコミュニケーションを行うが、「添付ファイル」機能を利用して伝える情報の種類を拡張できる。文字では表現できない図表やグラフは、表計算ソフトなどのファイルを「添付」してメッセージに加えるのだ。ファイルを添付するには、メールソフトの「挿入」「メッセージ」などのメニューから「添付ファイル」を選び、ダイアログボックスで該当ファイルを選択する。専用ボタンが用意されていたり、ファイルをメール作成画面にドラッグするだけで添付できるソフトもある。また、添付するファイルのサイズは必ず確認すること。大きなファイルを添付すると、相手のメールボックスが溢れてしまうことがある。電子メールは巨大なファイルを送ることを前提に作られていないので、添付ファイルはしばしばトラブルの種になる。