2.6 マザーボード
パソコン本体の内部いっぱいに広がっているマザーボード(図2-6)は、その一端がパソコン本体の背面にまで届いているのですが、そこにはなんと、今までキーボードやマウス、プリンタなどをつないでいた端子があるのです。つまり、CPUからキーボードやプリンタにいたるまで、パソコンのハードウェアはどれもすべてマザーボードにつなげることで、ひとつのパソコンとして動作していた、ということになります。たとえば、マウスやキーボード、ハードディスクといったハードウェアからは、さまざまなデータが送り出されていきますが、それらのデータもすべてマザーボード上を通ってメモリに記憶され、そこからCPUへと送られていくのです。
ハードウェア間でデータのやり取りを行なう場合は、まずマザーボードにデータを送ってから、別のハードウェアにデータを届けるという形になります。しかし、すべてのハードウェアが勝手気ままにデータを送り続けていると、まるで交通渋滞になってしまい、マザーボードはデータであふれてしまいます。そこですべてのハードウェアを統括してデータの流れを交通整理する機能が必要になります。その役目を果たすのが、マザーボード上の「チップセット」という部品になります。チップセットはCPUによく似たLSIチップで、さまざまなハードウェアとデータをやり取りする機能をもっています。昔は、ハードウェアごとに個別のチップがデータのやり取りを担当していましたが、それらの機能がひとつのチップに統合されたため、「複数の機能をセットにしたもの」という意味で、チップセットと呼ばれるようになりました。さまざまなハードウェアから送られたデータは、まずチップセットに送られます。データを送るタイミングや送り先を判断して、データを送り出していくのです。データの「入力」→「記憶」→「計算」→「出力」というパソコンの基本的な仕組みも、チップセットがデータの流れを管理していうからこそ可能となります。
図2-6 マザーボード
現在のチップセットは、2個1組で使われるのが一般的です。ここでは、二つのチップにどのような機能があるのかをみていきます。チップセットには、大小ふたつのチップがあります。大きいチップは「ノースブリッジ」、小さい方のチップは「サウスブリッジ」と呼ばれています。ハードウェア間でのデータのやりとりを管理するという機能はどちらも同じですが、どのハードウェアとデータをやりとりするか、という点が大きく異なります。ノースブリッジは、CPU、メモリ、AGPという、動作スピードの早いハードウェアを担当するチップです。一方のサウスブリッジは、キーボードやハードディスク、USB接続機器に拡張ボードなど、動作スピードが比較的遅いハードウェアを担当しています。二つのチップの間には、データをやり取りする専用通路が用意されているため、CPUとハードディスクのように、それぞれ違うチップにつながっているハードウェアの間でも、データのやり取りが行えるのです。